カスハラ客を出入り禁止(出禁)にする方法|伝え方・通知書の例文と法的な注意点

カスハラ出入り禁止中小企業
店舗の入口で、店長が落ち着いた態度で来店客に対応し、別のスタッフがスマートフォンを手に控えているイメージ

同じお客様から何度も暴言を浴びせられたり、無理な要求を繰り返されたりして、 「もう来店をお断りしたい」と考える店長やオーナーは少なくありません。カスハラ 出禁は、店と従業員を守るための選択肢の一つです。

一方で、「お客様を出禁にしてよいのか」「あとで揉めないか」と迷う方も多いはずです。 この記事では、出禁にできる根拠と判断基準、その場での伝え方、通知書の例文、 出禁にした客が来店したときの対応までを順に解説します。

出入り禁止(出禁)にできる法的な根拠

カスハラ 出禁を考えるとき、まず押さえておきたいのが、店にはそもそも来店を断る権限が あるという点です。

店には「施設管理権」がある

店舗や事業所の管理者は、誰を施設に入れるかを決める権限を持っています。 これを施設管理権と呼びます。

民間の店舗であれば、正当な理由がある場合に、特定のお客様の来店をお断りする ことは基本的に可能と考えられています。出禁は、この権限に基づく措置です。

出禁を伝えた後に居座る・来店すると犯罪になりうる

退去を求めたのに居座り続ければ不退去罪、出禁を通知した後に立ち入れば 建造物侵入罪(いずれも刑法130条)にあたる可能性があります。大声や威圧で 営業を妨げれば、威力業務妨害罪(刑法234条)が問題になることもあります。

ただし、いずれも成立するかどうかは個別の事情によって判断されます。 「伝えれば必ず犯罪になる」とは考えず、記録を残しておくことが大切です。

出禁を検討すべきケースと判断基準

正当なクレームまで出禁にしてしまうと、かえって店の信用を損ないます。 次のような状況があるかどうかを判断の目安にしてください。

  • 暴言・脅迫・暴力がある
  • 同じ不当な要求が繰り返され、注意しても改善しない
  • 従業員の心身や、他のお客様に影響が出ている
  • 警察に相談するレベルの行為があった

出禁は「最終手段」として段階を踏む

いきなり出禁にするのではなく、次の順で段階を踏むのが基本です。

  1. 注意する(どの言動が問題なのかを伝える)
  2. 警告する(「次に同じことがあれば、来店をお断りします」と伝える)
  3. 出入り禁止を伝える

各段階で何を伝え、相手がどう反応したかを記録しておくことが、後で出禁の正当性を示す根拠になります。

業種によっては慎重な判断が必要

医療機関には応招義務があり、自治体の窓口や生活インフラに関わるサービスも 公共性が高いため、一律に出禁にするのは難しい場合があります。そうした現場では、 対応する担当者・時間・方法を限定するといった代替策が考えられます。詳しくは医療・介護現場のカスハラ対策や自治体窓口のカスハラ対策の記事をご覧ください。

出禁にする前に会社として決めておくこと

出禁を実際に進める前に、次の点を会社として決めておきます。

  • 出禁を決める権限者(店長が決めるのか、本部・経営者が決めるのか)
  • 判断の根拠となる記録(日時・内容・対応者・録画)
  • 出禁の範囲(全店舗か、その店舗だけか、期間を区切るか)
  • 従業員への共有方法(顔や特徴を誰まで共有するか。個人情報の扱いに注意する)

大切なのは、店長一人の判断で決めないことです。会社としての判断であれば、相手から反論されたときも記録をもとに 説明でき、後のトラブルを防ぎやすくなります。

その場で出入り禁止を伝えるときの伝え方

出入り禁止の伝え方で意識したいのは、落ち着いて、短く、複数人で伝えることです。 その場の空気に流されず、決めた手順どおりに進めます。

一人で伝えず、複数人で対応する

出禁を伝える場面は、相手が感情的になりやすい場面です。必ず2人以上で対応し、 一人は相手と話す役、もう一人は記録係として時刻ややりとりを残す役に分けます。

感情的にならず、短く・はっきり伝える

理由を長々と説明すると、そこから議論が始まってしまいます。相手の反論には 応じず、結論だけを繰り返し伝えます。たとえば次のような言い方です。

  • 「これまでの言動を踏まえ、今後のご来店はお断りいたします。お引き取りください」
  • 「当社として決定したことですので、この場でのご説明は控えます」
  • 「これ以上お話を続けることはできません。お引き取りいただけない場合は警察に連絡します」

退去しない場合は警察に通報する

退去を求めた事実と、その時刻を記録しておきます。それでも居座る場合は、 ためらわずに110番してください。従業員が身体を張って押し出す必要はありません。

書面で通知する場合の通知書の例文

口頭だけでは「言った・言わない」の争いになりかねません。出入り禁止の通知書を 内容証明郵便などで送ると、伝えた事実が形として残ります。ここでは通知書の項目と 例文を紹介します。

通知書には、次の項目を入れます。

  • 宛名
  • 通知日
  • 出入り禁止の対象となった言動の概要(日時と事実のみ。感情的な表現は使わない)
  • 出入り禁止の範囲と開始日
  • 違反した場合の対応(警察への通報・法的措置)
  • 会社名・責任者名

本文の例文は次のとおりです。

「○年○月○日および○月○日、当店において従業員に対し大声で威圧し、謝罪と 金銭の支払いを繰り返し要求された件について、当社は従業員の安全を確保するため、 本書到達日以降、当社店舗へのご来店をお断りいたします。本通知後にご来店された 場合は、警察に通報し、法的措置を検討いたします。」

文面は事案によって変わります。送る前に弁護士に確認してもらうと安心です。

出禁にした客が来店したときの対応

出禁を伝えた相手が再び来店した場合は、次の流れで対応します。

  1. 入店をお断りし、退去を求める
  2. 応じなければ警察に通報する
  3. 対応の経緯を記録し、録画を残す
  4. 本部・責任者に報告する

出禁を伝えた後の来店は、店の判断が正しかったことを示す重要な記録になります。 慌てず、手順どおりに残しておきましょう。

出禁の根拠になる記録をスマホ録画で残す

出禁が正当だと示すには、「いつ・どこで・誰に・何をしたか」の記録が欠かせません。 ところが固定の防犯カメラは音声を残せないことが多く、入口や屋外、バックヤードなど カメラが届かない場所でのやりとりは記録に残りません。

KhGuard なら、スタッフ自身のスマホからワンタップで録画を始められます。録画開始と 同時に「録画しています」という音声が流れるため、その場の抑止にもなります。 記録には日時・位置情報・スタッフ名が残り、動画は端末に残らず会社が管理します。 警察や弁護士にはPIN付きのリンクで共有できます。

録画を始める前の掲示や告知の考え方は、店舗のカスハラ対策の記事で紹介しています。

KhGuardで出禁の判断を記録に基づいて行う

カスハラ対策(KhGuard)は、専用機器も工事も要らず、スタッフのスマホだけで使えます。QRコードを 読み取ってスタッフを登録すれば、その日から録画を始められます。

料金は月額980円から(10GB・録画スタッフ10名まで)。45日間の無料トライアルがあり、クレジットカードの登録は不要です。出禁を「記録に基づく会社の判断」にするための備えとして、まずは試してみてください。

まとめ

カスハラ 出禁は最終手段ですが、手順を踏めば店と従業員を守るための正当な措置になります。

  • 出禁は施設管理権に基づく措置になりうるが、注意 → 警告 → 出禁と段階を踏む
  • 伝えるときは複数人で短くはっきり伝え、書面でも通知する
  • 判断の根拠になる記録を、録画を含めて会社として残す

現場での初期対応はカスハラ対応マニュアルの作り方、従業員が相談できる体制づくりはカスハラ相談窓口の設置の記事もあわせてご覧ください。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。出入り禁止の 判断や通知の文面については、弁護士等の専門家へご相談ください。