カスハラの相談窓口の作り方|従業員が相談しやすい体制と被害後のケア・再発防止の手順

カスハラ相談窓口中小企業
会議室で管理者が従業員のカスハラ被害の相談を聞いている様子

カスハラ対策の義務化を受けて、方針やマニュアルを整えた会社は増えています。それでも、現場が実際に相談できるカスハラの相談窓口がなければ、対策は機能しません。被害が会社に届かなければ、配慮も再発防止も始められないからです。

この記事では、少人数の会社でも今日から作れる相談窓口の決め方と、相談を受けた後の対応、被害を受けた従業員へのケアまでを順に整理します。

カスハラの相談窓口が必要な理由

義務化で事業主に求められる「相談体制の整備」

厚生労働省の資料では、事業主が講ずべき措置として、おおむね次のような柱が示されています。

  • カスハラに対する方針の明確化と周知
  • 相談に応じ、適切に対応するための体制の整備
  • 発生したときの迅速で適切な対応
  • 被害を受けた従業員への配慮
  • 再発防止の取組

このうちカスハラの相談体制は、他の柱をつなぐ役割を持ちます。相談が届いて初めて事実確認ができ、配慮や再発防止に進めます。義務化の全体像はカスハラ対策の義務化の記事で整理しています。

相談されないまま退職につながるリスク

被害を受けたスタッフの多くは「これくらいで相談していいのか」とためらいます。忙しそうな店長に声をかけづらく、一人で抱え込んだまま、ある日突然辞めてしまうことも珍しくありません。窓口は、このためらいを減らすための仕組みです。

相談窓口を作るときに決める5つのこと

カスハラの相談窓口は、専任の部署がなくても作れます。大切なのは、誰に・どうやって相談すればいいかが全員に分かっていることです。次の5つを決めれば、少人数の会社でも運用を始められます。

1. 窓口担当者を決める

少人数なら、社長・店長などの社内ルートと、社外ルートの2本を用意します。上司に言いにくい内容や、上司自身が対応に関わっていた場合でも、別の経路があれば相談できます。

可能であれば男女両方の担当者を置くと、相談しやすさが上がります。社内で用意しにくい場合は、顧問の社会保険労務士や弁護士に社外窓口をお願いする方法もあります。

2. 相談の受付方法を決める

対面だけでなく、電話・チャット・メールなど複数の方法を用意します。シフト制の職場では顔を合わせる機会が限られるため、時間を選ばずに送れる方法があると相談のハードルが下がります。

3. 相談を受けたときの聞き方と記録の項目

話を聞くときは、途中で否定したり、評価したりしないことが基本です。「よく話してくれました」と受け止め、内容を口外しないことを最初に伝えます。記録シートには次の項目を残します。

  • 日時と場所
  • 相手の特徴(分かる範囲で)
  • 言動の具体的な内容
  • 対応した人と目撃者
  • 録音・録画の有無
  • 本人の希望(どこまで対応してほしいか)

4. プライバシーの保護と不利益な扱いの禁止をはっきり示す

相談内容は必要な範囲の人にだけ共有すること、相談したことを理由に評価や配置で不利に扱わないことを、文書で明確にします。ここが曖昧だと、窓口があっても使われません。

5. 従業員への周知

窓口は、知られていなければ無いのと同じです。社内掲示や朝礼、社内チャットで繰り返し伝えます。周知文は、たとえば次のような短いもので十分です。

お客様からの暴言や威圧的な言動で困ったときは、一人で抱え込まずに相談してください。
相談先:店長(〇〇)/社外窓口(〇〇社会保険労務士事務所・電話〇〇)
対面・電話・チャットのどれでも受け付けます。
相談内容は秘密として扱い、相談したことで不利な扱いをすることはありません。

会社としての方針とあわせて掲示すると効果的です。方針の書き方は基本方針の例文の記事を参考にしてください。

相談を受けた後の対応フロー

相談を受けたら、次の順番で進めます。

  1. 受付 — 記録シートに沿って話を聞き、本人の希望を確認する
  2. 事実確認 — 記録、目撃者の話、録音・録画などの映像を集める
  3. カスハラかどうかの判断 — 正当な要望やクレームとの違いを、会社の基準に照らして判断する
  4. 相手への対応 — 来店時の対応方針を決め、必要に応じて警察や弁護士に相談する
  5. 本人へのフィードバック — 会社として何をしたかを本人に伝える

最後のフィードバックは省かれがちですが、「相談しても何も変わらなかった」と感じると、次の相談は来ません。対応に時間がかかる場合も、途中経過を伝えます。判断に迷うときはカスハラの定義と具体例の記事を参考にしてください。

被害を受けた従業員へのケア

すぐに行う配慮

まずはその場から離し、一人で対応させないことです。別のスタッフや管理者が対応を引き継ぎ、本人には休憩を取ってもらいます。落ち着いてから話を聞くほうが、正確な記録にもつながります。

中長期のケア

カスハラの従業員ケアは、その日で終わりではありません。同じ相手が来る可能性があれば、担当の変更やシフトの調整を検討します。眠れない、出勤がつらいといった様子があれば、産業医やEAP(従業員支援プログラム)につなぎます。

社内に専門家がいない場合は、公的な相談先も使えます。厚生労働省の「こころの耳」では、働く人向けの電話・SNS・メールの相談窓口を案内しています。本人に外部の相談先を伝えておくことも、従業員ケアの一つです。

記録を使った再発防止

相談記録は、たまったら終わりではなく月に一度振り返ると役に立ちます。発生した場所、時間帯、きっかけになった場面を並べると、特定のレジや電話の時間帯に偏っているなど、パターンが見えてきます。

見えた傾向は、対応手順や研修に反映します。手順の作り方はカスハラ対応マニュアルの記事、研修への落とし込み方はカスハラ研修の進め方の記事で紹介しています。

相談の「材料」を残すなら KHGuard

窓口で事実確認をするとき、本人の記憶だけに頼ると、言った・言わないの話になりがちです。客観的な映像と音声が残っていれば、判断がしやすくなり、本人が説明する負担も軽くなります。

KHGuardは、スタッフのスマホをそのまま録画デバイスにするサービスです。

  • ワンタップで録画が始まり、「この会話は記録されています」と音声で案内するため、抑止につながる
  • 録画は自動でクラウドに保存され、閲覧できるのは本人と管理者だけ
  • 管理者ダッシュボードで日時・スタッフ名・GPS位置・録画時間を確認できる
  • PIN付きの共有リンクで、弁護士や警察に記録を共有できる

専用機材は不要で、月額980円(税込)から、初期費用はかかりません。45日間の無料トライアルがあり、クレジットカードの登録は不要です。使わずに済むのがいちばんですが、備えがあることが現場の安心につながります。

録画にあたっては、店舗等への掲示による事前のお知らせをお願いしています。掲示用のテンプレートはこちらに用意しています。

今日からできるチェックリスト

次の6項目がそろえば、カスハラの相談窓口として運用を始められます。

  1. 窓口担当者を2ルートで決めた
  2. 受付方法を決めた
  3. 記録シートを用意した
  4. プライバシー保護と不利益な扱いの禁止を明文化した
  5. 周知文を出した
  6. 振り返りの日程を決めた

相談できる窓口と、相談の材料になる記録を、両方そろえておく。それが、従業員を一人にしない体制の出発点です。

無料で新規登録(月額980円から・初期費用0円・45日間無料トライアル・クレジットカード登録不要)

出典

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については社会保険労務士・弁護士にご相談ください。