接客中の録画にお客様の同意は必要?カスハラ対策で撮影する前に知っておきたいQ&A
この記事の要点
接客中の録画について、個人情報保護委員会のQ&Aをもとに、同意の要否、撮影していることの告知、スタッフのスマホでの撮影、動画の保存期間、警察や弁護士への提供を一問一答で整理しています。録画を始める前に、店舗で決めておく5つのルールも示しています。

「カスハラ対策として録画を始めたいけれど、お客様に無断で撮ってよいのか分からない」。 そんな迷いから、一歩を踏み出せない店長や経営者の方は少なくありません。カスハラ 録画 同意の問題や、「接客中の録画は違法なのか」という不安は、よく聞かれる疑問です。
2026年10月1日から、改正労働施策総合推進法によってカスハラ対策が事業主の義務になりました。 この記事では、個人情報保護委員会のQ&Aをもとに、録画についてよく出る疑問に一問一答で答えます。
カスハラ録画の同意で迷いやすいポイント
接客中の録画で迷うポイントは、次の4つに分けて考えると整理しやすくなります。
- 同意:撮る前にお客様の同意が必要か
- 告知:撮っていることをどう伝えるか
- 保存:撮った動画をどこに、いつまで残すか
- 共有:警察や弁護士に渡してよいか
以下のQ&Aでは、この順番で答えていきます。あわせて、スタッフのスマホで撮る場合の注意点と、 録画を始める前に店舗で決めておくルールもまとめました。
Q1. カスハラ対策の録画に、お客様の同意は必要ですか?
個人情報保護委員会の「個人情報保護法ガイドラインに関するQ&A」では、特定の個人を識別できる カメラ画像を取得する場合は個人情報を取り扱うことになるため、利用目的をできる限り特定し、その範囲内で利用する必要があるとしています。
そのうえで、防犯目的であることがカメラの設置状況などから明らかな場合は、「取得の状況からみて 利用目的が明らか」(法第21条第4項第4号)に当たり、利用目的の通知・公表は不要と考えられる、 としています。
ただし、このQ&Aは据え付けの防犯カメラについての説明です。スタッフのスマホでの撮影にも そのまま当てはまるとは言い切れませんが、考え方の参考になります。接客中の録画は違法なのか、と心配な場合も、まずは「何のために撮るのか」をはっきりさせることが 出発点と考えられます。
なお、「同意がいらない=何をしてもよい」ではありません。次のQ2で、撮影を相手に分かるようにする 考え方を見ていきます。
Q2. 撮影していることは、お客様に伝える必要がありますか?
同じQ&Aでは、不正な手段で個人情報を取得することは禁止されている(法第20条第1項)ことから、 カメラで撮られていると本人が容易に分からない場合は、分かるようにする措置が必要としています。
例として、防犯カメラが作動中であることを店舗の入口やカメラの設置場所に掲示することが 挙げられています。また、見た目でカメラと明らかな場合でも、掲示などで より分かりやすくすることが望ましいとしています。
防犯カメラの掲示と個人情報の扱いについて、店舗でできることは次のとおりです。
- 入口やレジ横に「録画を行うことがあります」と掲示する
- カスハラへの基本方針の掲示とあわせて行う(カスハラ対策の基本方針の例文)
- 録画を始めるときに、口頭やアナウンスで「記録します」と伝える
掲示と口頭の両方で知らせておくと、お客様にとっても撮影が分かりやすくなります。
Q3. スタッフのスマホで撮ってもいいですか?
スマホでの録画で気をつけたいのは、法律の問題よりも動画の管理の問題です。私物の端末に動画が残ったままになると、次のようなおそれがあります。
- 端末をなくしたときに、動画が外に出てしまう
- 退職したスタッフの手元に動画が残り続ける
- SNSに投稿されるなど、目的の外で使われてしまう
そこで、会社として次の点を決めておきます。
- 撮った動画を端末に残さない
- 保管場所を一か所にまとめる
- 動画を見られる人を決めておく
どの機器で録画するかは、カスハラ対策の録画機器の比較の記事で詳しく紹介しています。
Q4. 撮った動画はいつまで保存すればいいですか?
Q1で見たとおり、カメラ画像は利用目的の範囲で使うのが基本です。そう考えると、 「カスハラの事実確認や相談のため」という目的に必要な期間だけ持つ、という整理になります。
ここで紹介したQ&Aに、何日保存しなければならないという日数は書かれていません。 社内で保存期間を決め、期間を過ぎた動画は消す運用にしておくとよいでしょう。 相談中・対応中の案件の動画は、決着するまで残すといった例外も決めておくと迷いません。
記録の残し方は、電話のカスハラ対策の記事でもふれています。
Q5. 警察や弁護士に動画を渡してもいいですか?
個人情報保護委員会のQ&A(Q5-1)では、防犯カメラに映った偽造キャッシュカードの実行犯の映像を 他の金融機関に提供するという事例について、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある 場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」の例外に当たりうるという考え方を 示しています。
ただし、これは特定の事例についての説明です。警察や弁護士に渡す場面がどう扱われるかは、弁護士などの専門家に確かめるようにしてください。
実際に渡すときは、次のような工夫で広がりを抑えられます。
- 必要な場面の動画だけを渡す
- 見られる期間を区切る
- いつ・誰に渡したかを記録しておく
録画を始める前に店舗で決めておく5つのルール
ここまでのQ&Aをふまえて、録画を始める前に次の5つを決めておきましょう。 紙1枚にまとめて、スタッフ全員に共有しておくと安心です。
- 録画の目的(カスハラの事実確認と従業員の安全)
- 録画を始める場面(常時録画にせず、必要なときだけ撮る)
- お客様への知らせ方(入口やレジ横の掲示、口頭での告知)
- 保存場所・保存期間・動画を見られる人
- 外部(警察・弁護士)に渡すときの手順と、判断する人
KhGuardなら「知らせる・残さない・広げない」録画ができます
カスハラ対策(KhGuard)は、スタッフのスマホを録画デバイスにするサービスです。ワンタップで録画を始められ、 開始時には「この会話は記録されています」と自動で読み上げます。
- 知らせる:常時録画はせず、スタッフが必要と判断したときだけ撮影します。スマホで撮るので撮影が目に見えます。顔認識や人物照合、特定の人を追跡する機能はありません
- 残さない:録画はクラウドに自動で保存され、アップロード後は端末に残りません。管理画面で保存期間を設定すれば、過ぎた動画は自動で削除されます
- 広げない:見られるのは撮影した本人と管理者だけで、閲覧・共有の操作は履歴に残ります。警察や弁護士へは、48時間で無効になるPIN付きの閲覧リンクで共有できます
料金は月額980円(税込)から、初期費用0円です。45日間の無料トライアルがあり、クレジットカードの登録は不要です。掲示や社内ルールとあわせて、録画の仕組みづくりに役立ててください。
まとめ
カスハラ録画の同意で迷ったときは、同意の要否だけでなく、次の3点を押さえることが大切です。
- 目的をはっきりさせる(カスハラの事実確認と従業員の安全)
- 撮影を分かるようにする(防犯カメラの掲示など、個人情報を取得していることが伝わる措置)
- 目的の範囲で管理する(保存期間・見られる人・渡し方を決める)
個人情報保護委員会のQ&Aは、個人情報保護委員会のウェブサイトで確認できます。
